2012/1/13 La Cage aux Folles | 好雪録

2012/1/13 La Cage aux Folles

本日は日生劇場でミュージカル〈ラ・カージュ・オ・フォール〉鑑賞。
今月ちょっとでもお暇な方に申し上げたい。
「これを見なくては一生の損」である。

ここで細評は避けるが、まず、市村正親のアルバンの名演。
「ゲイ・クラブの女装ショー」というのは、旧来の「良識」からすれば沙汰の限りの生業だが(この価値観の権化が今井清隆演ずるダンドン議員である。)、市村のアルバンには決して卑屈にならない、それでいて自然体で可愛げ溢れる「ゲイ」の生き方の真実がある。

それ対し、これまで「母」となって庇護してきたアルバンのことを、世間的価値観にかぶれて突き放そうともする「息子」ジャン・ミッシェルを初役で演じた原田優一が清新で素晴らしく、この「息子」が改心して「母=アルバン」を受け止める第2幕の芝居は涙なしでは見られないものだが、それに先立つ第1幕の幕切れ、「息子」にいったんは見捨てられたアルバンが、「それでも私は私、誇り高く生きてゆく!」と毅然として歌い切るI am What I am は、人間の尊厳というものを知らしめる市村の絶唱である。

ミュージカルの観客は案外閉じられているもので、こうした名作も一部コアなファンの間でのみ定着しているようなのは勿体ない。
ことに、社会的なメッセージ性の強いこの作品は、見て、楽しんで、深く考える価値がある。

多くの人に見て頂きたいと、切に思う次第である。

2012年1月13日 | 記事URL

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