2012/1/24 新国立劇場来シーズン演目発表 | 好雪録

2012/1/24 新国立劇場来シーズン演目発表

表題の件、本日ネット上で公開されたものである。
正直、ガッカリである。

ともかく、番組面に変化がなさすぎる。
特にオペラ。

いつまで〈トスカ〉や〈愛の妙薬〉ばかり繰り返すのだろう。
モーツァルトが〈魔笛〉と〈コジ〉と2曲もあるのに、開場以来いまだかつてベッリーニの作品は掛からず、ドニゼッティだって〈愛妙〉と配役不十分な〈ルチア〉だけ。
〈カルメン〉以外のフランスオペラも冷遇されている。

わが国の明治以降のドイツ音楽偏向は根深いのである。

新制作を謳う〈ナブッコ〉は以前も出ている。
同じ初期ヴェルディならばなぜ〈エルナーニ〉や〈ロンバルディア人〉に挑戦しないのか。
恐らく〈ナブッコ〉にはサッカーで有名になった合唱曲があるから集客が望める、ということだろう。
好い加減聴き飽きた〈愛の妙薬〉なんぞを出すより、同じ田園恋愛物で比較にならぬほど高雅な〈夢遊病の女〉に換えたほうが何倍も洒落ている。
これまた飽き飽きした〈理髪師〉より、同じロッシーニなら名曲〈オテッロ〉、いや〈ギヨーム・テル〉は制作できないのか?
フランス物にだってビゼーの〈真珠採り〉、トマの〈ミニョン〉〈アムレ〉、マスネ(五十嵐喜芳の監督時代にマスネを厚遇したのは「善政」だ)の〈タイース〉〈ル・シッド〉、グノーの〈ミレイユ〉〈ロメオとジュリエット〉など宝石のような曲が未上演でたくさん残っている。
いっそ、〈ユグノー教徒〉や〈アフリカの女〉などマイヤベーアの大作を掛けて欲しいのだが、こんなこと私の生きている間には望めそうもない。

官僚主義・売上安全主義に走った感が強く、これほど並んでいるのにきわめて「無個性」なラインアップである。

いま上演中の〈ボエーム〉も集客に苦心しているようだ。
無難な有名曲を出しても、それで聴衆が集まるということは断じてない。
優れたカンパニーを組めば、この情報夥多の時代、嗅ぎつけて集まるファンは多いのだ。

ということで、本日はただ憤懣を披露したばかりで内容のない好雪録となって失礼。

2012年1月24日 | 記事URL

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