2012/2/18 のりこぼし | 好雪録

2012/2/18 のりこぼし

大阪から奈良へ廻ると、霰が降り出した。
車窓から見る見るうちに、飛火野も春日参道も一面の白になった。
霰はすぐには消えないから、雪よりも地面の色が変わるのも早いのだ。

この時期、奈良に来ると必ず求めるのが銘菓「のりこぼし」。
二月堂・お水取りに捧げる和紙の造花を模したもので、そう歴史の古い菓子ではないけれども、季節のものとして定着している。
「のりこぼし」は東大寺創建の偉人・良辨僧正を祀る開山堂にある椿の異称で、12月16日の開山忌にしか公開されない。
日本の三大名椿に数えられるほどの名木だが、3月15日のお水取り=修二會の満行の頃でないと花開かないので、近くに寄って見ることはできない。幻の名花でもある。
紅に白のぼかしが入ったのが「糊をこぼしたように」見えることからの名であろう。同時に、「糊=法(のり→仏法)」の隠喩が籠められているに相違ない。

類似の和菓子は市中で色々売られているが、紅の色の鮮やかさと味わいと、
萬々堂通則の「のりこぼし」に勝るものはないと思う。
ちょっと高価とはいえ、和菓子好きの方には是非オススメする。
地方発送もできるから、先日頂いた羽織紐の返礼も、来月を待たずここから送った次第。

2012年2月18日 | 記事URL

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