2012/2/7 ライモンダ | 好雪録

2012/2/7 ライモンダ

今宵はボリショイ・バレエ〈ライモンダ〉を堪能。
タイトルロールを踊ったマリーナ・アレクサンドロワが十全の風格と技巧で、満場の喝采を浴びたが、コールドバレエ(群舞)の末端に至るまで人材が豊富。

四肢の発達した体格のロシア人揃いなので、みな振りが大きく、動きや型の決まりが鮮やかで、まだ余力がありそうなところが凄い。
日本の新国立劇場バレエ団はコールドの質が高いと言われるところだが、これを見ると総体によく揃ってはいても一人一人の個性が薄く、いかにも「群舞」である。
ボリショイのコールドは、一人一人の個性が透けて見え、かつ、大きいところで揃っている。
国民性の違いといえばそれまでなのだが、バレエ藝術の本質にも関わることだろう。

グラズノフの〈ライモンダ〉は音楽として私の愛する曲でもある。
こうしたバレエ音楽は演奏会では聴かれないから、バレエを見ながら聴くしかない。
ただ、海外の劇場では、オペラに比べてバレエの日は、同じ専属のオーケストラでも、演奏が雑になることが多い。
ダンサーに合わせて間を取ることが多く、音楽の自然な流れが断ち切られるのがその原因かもしれないが、バレエの観客はオーケストラの出来にさして興味を抱かぬせいもあろう。
原曲をいじって曲順を入れ替えたり、反復を増やしたり、まったく無関係な新規曲を挿入したりという改編は、オペラでは禁じ手だが、バレエ音楽では日常茶飯。
本日の〈ライモンダ〉も、のっけから第3幕前奏曲を第1幕序曲に転用するなど、そこここに違いがあった。

好きな演目だけに、〈ライモンダ〉のことを書き始めるとキリがなくなる。
本日はこんなところで。

2012年2月 7日 | 記事URL

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