2012/2/8 梅遅き春 | 好雪録

2012/2/8 梅遅き春

植物が好きなので、家や職場の周辺、どこにどの花がいつごろ咲くか、大抵把握している。

後日書くかもしれないが、拙宅からちょっと歩いたところに隠れた梅の名所があって、毎年必ず花を楽しむことに決めた古木が何本かある。

冬至梅といって歳暮から花開く種類もあるけれども、今年は総体に寒いせいか、まだ莟の堅い梅の木がほとんどだ。

桜は「花見」と言う。梅は「探梅」と称する。
まだ春浅く寒い林に分け入って、先駆けて咲く梅の花々を探訪するからこの名がある。
いかにも密やかな、奥ゆかしい言葉だと思う。

梅は、満開になると、もういけない。
本当の見どころは、三分咲き程度の、ちらほら綻びた花が目立つ頃である。
つまり、梅は花開いた解放感が身上なのではなく、これから咲き進む「気」を賞翫するものだと思う。

寒さが厳しければ厳しいほど、梅の花は美しく、その香も高い。
今年はその意味で、梅花を楽しむにはこの上もない年と言えるだろう。

2012年2月 8日 | 記事URL

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