2012/3/1 『枕草子』の藤原實方 | 好雪録

2012/3/1 『枕草子』の藤原實方

本日は朝日カルチャー講座の第1回で、藤原實方の生涯とその伝説を講義。
虚実さまざまに語られる實方だが、関係の深かった清少納言による『枕草子』の証言は、同時代の記録としてはなはだ貴重と改めて思った次第。

豊明節会の席上で美女に歌を詠み掛ける實方の、衆人環視を意識したポーズ。
派手やかな詠みぶりを尽くしたその歌の劇場効果。
自らここに割って入るように返歌を代作する清少納言。
2人の「大人」に挟まれながら人間性を活写される若き美女。

實方の人となり、その場の状況を鮮やかに切り取った清少納言の筆致がすばらしい。

同じ三巻本系諸本でも数え方が異なるので段数は一概に言えないが、書き出し「宮の五節出ださせ給ふに」の段。
復曲〈阿古屋松〉で藤原實方に興味を抱かれた向きに、是非ご一読をお勧めしたい文章である。

2012年3月 1日 | 記事URL

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