2012/3/22 後見の力量 | 好雪録

2012/3/22 後見の力量

2月分の能評は入稿済み。次号『能楽タイムズ』をご覧頂きたい。
ひときわ美事だったのは、銕仙会例会〈弱法師〉における野村四郎氏の後見ぶり。
「これだ!」と膝を打つ思い、とはこのことである。

上の詳細は、当該記事をお読み頂くとしよう。

後見の臨機応変の対応は、シテ以上に難しい。
舞台でシテが倒れた場合、主後見が舞い継ぐと言われ、確かにその例はいくつもある。
だが、そうした稀な事態への対応力よりも、日頃の後見ぶりが常に板についていなければならないものだ。
作リ物や小道具の出し入れはもとより、切戸口あるいは片幕を出る足取り、後見座に何もせず坐している姿、こうしたところが大切なので、「こう」という姿かたちを獲得している後見は数少ない。
1983年に亡くなった宝生流・田中幾之助の名後見ぶりが、死後30年を経る今も喧伝されるというのは、並大抵のことではないのだ。

現代の「名後見」は、誰だろうか?

2012年3月22日 | 記事URL

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