2012/3/9 銕仙会の〈國栖〉  | 好雪録

2012/3/9 銕仙会の〈國栖〉 

本日は水道橋で銕仙会例会。

観世銕之丞の〈國栖 白頭・天地之聲〉は問題の多い出来ばえだったが、戦中改悪以来の大成版で「やごとなき御方(身分の高いお方)」とぼかした表現になっているところ、すべて「淨見原の天皇」と旧に復していたのは(この会派としては既に普通だが)評価できる。

〈鉢木〉の一節「松はもとより煙にて」を、徳川氏=松平氏に遠慮し「松はもとより常盤にて」と言い換えたまま現在に至る宝生流の例もあるように、能楽史上こうした表現の改変は枚挙に暇がない。
それだけ能が社会情勢と不可分に歩んできた証左なのだが、今後はそういうことすら生じなくなってしまうかもしれないと思うと、複雑な気がするのも確かである。

2012年3月 9日 | 記事URL

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