2012/4/17 梨花一枝春雨帶 | 好雪録

2012/4/17 梨花一枝春雨帶

勤務先が多摩の山間なので、通勤の途中に梨の名産地が多く、今は随所で白い花盛り。

梨の木の性として箒状に高く伸びるものだが、梨畑では収穫の便を図って低く棚のように枝を誘引してある。
梨の花を印象的に描写した文章は『枕草子』にとどめをさす。
仙界に転生して孤独に生きる楊貴妃の寂しい美貌を謳った「長恨歌」の名句「梨花一枝春雨帶」に清少納言の興味は根ざしているが、それだけではなく、自身が花枝を手に採って克明に観察した強みがそこにはある。

午後、春雷が轟き、豪雨となった。
静かに咲き満ちる純白の花と、時ならぬ雷雨と、「梨花一枝、春、雨を帶ぶ」とはまったく異なるものの、かえって凄愴の感は勝り、好配合のように思ったことだった。

2012年4月17日 | 記事URL

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