いささか花冷えながら、まずまず麗らかに晴れた入学式。
私は前日来どうしたことやら過労気味で身が重く食欲もなく、昏倒しては恥だから、大事を取って式典には出ず自室で待機。
幼稚園時代以来ずっと、学窓生活と歩みを共にし続けている。
春夏冬の休暇と新年度の人心一新は毎年のことで、まさに習い性となっている。
私は1970年4月の小学校入学。
その日、壇上の校長先生がお話しになったことを鮮明に覚えている。
「今日からはみなさん、お話しをする時には、必ず相手の目を見ることにしましょう」。
その時、私は、「これからは必ず、人の目を見て会話をしよう」と思い定めた。
爾来、これを守り続け、今に至るまで決して忘れない。
相手の目を見て話し、聴く。
ただこの一事が、どれだけ尊く有益なことであるか。
子供心にもその温容が印象的だった福田和先生は、この一言で、人の一生に残る財産を残して下さったわけである。
言葉のちから、教育のちからということを、これを想うたびに噛みしめる。
2012年4月 5日 | 記事URL