18日に見た辰五郎、昨日見た新三、その双方で確信した。
勘三郎ようやく復調、である。
むろん、まだ100％の恢復ではない。
が、精神の張りと生気は、むしろ病後ゆえの充実、といえるだろう。
詳しいことは劇評のかたちで書かねばならないが、現在、あれほど溌溂と、まなざしが輝き、推進力のある歌舞伎役者がほかにいるだろうか。
確かに先代は大きい。
複雑怪奇を極めた先代勘三郎という役者は、それを超える、などと冗談にも言えるレベルではない。
だが病後、同じく大病から奇蹟的に復帰した父と同じ地平に立って、当代勘三郎は己れが立ち位置と周囲との関係が、これまで以上に明らかに見えたのではないだろうか。
初役の辰五郎はもちろん、新三も今回が最もすばらしい出来ばえである。
千穐楽までに日程に余裕のある方には、是非、その目でお確かめ頂くようオススメしたい。
2012年5月20日 | 記事URL