2012/6/4 〈ローエングリン〉再見 | 好雪録

2012/6/4 〈ローエングリン〉再見

フォークトの出来はますます良いが、演出の意味が理解しかねる。

第1幕最後、敗者となったテルラムントとオルトルート夫妻が舞台上手で後日を期す言挙げをしているのに(結句これが悲劇の直接原因となる)、照明はこの2人を照らさず中途半端な闇に沈めたまま。
2幕目の大聖堂の場で、天井から降りてきてエルザの首から下を覆うランプシェードのような巨大な骨組み装置はドレスのローブの表象だろうけれども、その意味するところは?
3幕最後で白鳥から人間に戻ったゴットフリート王子が群衆に取り残され一人膝を抱えて幕切れになるのはなぜ?

これらを色々考えると、「深くて複雑」なのではなく、演出そのものが演出家の内的イメージ先行で説明を充分に尽くしていないのではないかと、私には思われる。

コンヴィチュニーを引き合いに出すのが絶対とは思わないけれども、彼のすることは、有効無効は別にして、もっと端的に分かりやすいものだ。

2012年6月 4日 | 記事URL

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