2012/6/8 女性の能の限界 | 好雪録

2012/6/8 女性の能の限界

今さらながらの話題だが、しかし、考え続けなければならないことでもある。

本日の銕仙会では、観世清和の優れた〈頼政〉に続いて鵜澤光の〈胡蝶〉が出た。
母親譲りの丁寧な、意識の徹った気持ちの良い舞台だった半面、どこか一ヶ所わずかに躓くとその綻びで前後の大きな部分に穴が開く感が深かった。その穴は往々にして一曲のノリやハコビの問題なのだけれども、腹の力でグッと締め続ける力量が、女性だとどうしても希薄になるようだ。

先代井上八千代の舞踊にそんなことは感じなかったが、これは彼女が晩年は素踊、しかも裾を引かない着付で、短いものばかり舞い続けたことを考慮しなければならない。
衣裳付きで大曲を踊り、男性舞踊家と充分に伍せるか否かは、また別の話である。

能装束と能面が女性の身体にどうそぐうことができるか。
これはけっこう大きな問題かもしれない。

2012年6月 8日 | 記事URL

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