2012/7/29 五輪音痴 | 好雪録

2012/7/29 五輪音痴

タクシーに乗るとたまに、サッカーや高校野球というものは誰でも好きだろうと思い込んでいる運転手にぶつかることがあって、こうした時ほど挨拶に困ることはない。
だって、サッカーや高校野球なんて根っから知らないし、むしろキライなんです。

つまり、スポーツは全然しないし、興味がないから見もしない。
当然、オリンッピックにも関心ゼロのわたくしである。

たまたまバーでぼーっとお酒を飲んでいたら、画面には白と青の柔道着を着た屈強そうな男たちが組んづほぐれつしていて、あー、これってオリンピックなんだろうか、と思った。

見るとどちらも東洋人らしいから、どちらかがきっと日本人なんだろうと思っていたところ、訳の分からないうちに試合は終わったらしく、白が負けということのようだが、場内がなにかただならぬ雰囲気になって殺気立っている。相撲の物言いがついたみたいに審判らしいおやじ達が鳩首談合したと思ったら、今度は一転、白が勝ちになって、どうやらそのままのようである。

柔道の勝負は私にはまったく分からないけれども、こんな「勝ち方」をしたらむしろ負けるより損なのは確かで、あー、後味が悪いなぁと、白くんと青くんと、両方に同情したことである。
あとで聞いたら、白くんは日本人、青くんは韓国人だという。これまた、よりによってデリケートな組み合わせで起こったものである。

勝負事とは厳しいもの。「一世一度の晴れ藝なれば二人共に大事にかけ、どちらも負けてたもんなや」と〈玉三〉萩の方のようにボケたことは言われない。「勝ち負けの遺恨によって、斬って斬って斬りまくり」と濡髪長五郎のようにならぬことを祈るばかりだが、それには審判の厳正と分かりやすさが必須なので、柔道のように原始的に見える格闘技も実はそうではないのだなと、まあ、知っている人にとっては当たり前のことだろうが、私ははじめて勉強させて頂いた次第である。

だからといって、やはり、柔道にもオリンピックにも、相不変なんの興味もないのだけれど。

2012年7月29日 | 記事URL

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