2013/8/16 帝国劇場ミュージカル〈二都物語〉再見 | 好雪録

2013/8/16 帝国劇場ミュージカル〈二都物語〉再見

午前中に会議一件。夜は知己と会食。
中に挟まり午後は帝国劇場でミュージカル〈二都物語〉を再見。

感想は先日の本項で述べたとおりだが、再見して改めてミュージカル作品としての魅力はなかなか深いと思われた。できることなら私も、もう一度見てみたいほど。

26日まで。
みなさん是非、一度はご覧になるようオススメしたい。

先日の感想どおり強く印象に残る楽曲がほとんどないのは正直な感想だが、それは音楽に魅力がないのではなく、作者がアリアや重唱としてまとまったヴォリュウムのある楽曲を個別に立てる作意を持ち合わせないためだろう。「ああ、これをもっと展開させて独立した聞かせどころに収束させたらいいのにな」と思う部分が少なからずあるのは、むしろ当然。
つまり、〈レ・ミゼラブル〉のように「カラオケでも歌いたくなる聞きどころ満載」というようにはあえて作らず、歌はセリフと等価の「コトバの表現手段」として、ドラマを彩るために用いられているのだと思えば納得がゆく。

それだけに楽想は豊かだ。
私が好きなのは第1幕、ロンドン法廷の場におけるチャールズ冤罪裁判だが、その祝祭感あふれる盛り上がりのみならず、全曲にわたって書き込まれたメロディーやハーモニーは、捨てがたい魅力をそこここにきらめかせている。

本日は終演後に30分ほどのトークショーがあった。
岡幸二郎の司会で、今井清隆、宮川浩、橋本さとし、福井貴一のベテラン勢と、井上芳雄、浦井健治の「きれいどころ」2名の男性ばかり。
これが実に上出来で、個々銘々勝手なことを言いつつ内容に触れる話も多く、ほとんど居残った観客はみな大いに満足したのではなかろうか。

中でも傑作は、本気か計算か得体の知れない(笑)浦井健治のボケっぷりの美事さ。

橋本さとし扮するドファルジュが最後、妻がピストルの暴発で死ぬ場面に出てゆく前、舞台裏では緊張の面もちで役になりきって心を凝らしているそうだが、浦井曰く。
「さとしさん、一生懸命になって念仏を唱えて云々」。

浦井くん。
フランス男になりきる役者だったら、ふつう念仏は唱えません......

2013年8月16日 | 記事URL

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