みなさん。明けましておめでとう存じます。
( ↑ 亡き6世中村歌右衛門は決して「おめでとうございます」とは言わなかったものです)
先刻ヴィーン楽友協会黄金楽堂から実況のノイヤールスコンツェルトも無事終了。
関東は日中折々強風でしたが冷え込まず暖かなお元日でした。
さて、評論・講演・講座以外の今年の私の仕事についてちょっと申し上げます。
1)すでに告知しておりますが、2011年9月24日(土)に大阪・大槻能楽堂自主公演で制作・初演した能〈千手〉の小書「重衣之舞(きぬぎぬのまい)」が2度にわたって再演されます。
◆第9回萬歳楽座 2014年4月10日(木)18:30 国立能楽堂
◆観世会企画公演 2014年10月4日(日)12:00 観世能楽堂
両会とも千手ノ前は観世清和氏。平重衡は4月が大槻文藏氏、10月が宝生和英氏。
観世流の小書「郢曲之舞」に通ずる演出とはいえ随所で異なり、クセは省かず舞い序ノ舞を短縮、前半にカットを施し全曲1時間程度で収める処理です。クセの型はそのままに、細部の型は全面的に見直しています(詳細は2012年3月発行『明星大学研究紀要/人文学部・日本文化学科』第20号に論文「能〈千手 重衣之舞〉の演出・再構成」として執筆掲載)。4月は(初演時の笛をお勤め頂いた)藤田六郎兵衛氏、10月は観世清和氏の依頼によるもので、こうしたことは何度か演じて頂いて錬り上げられるものですから、制作者としてもありがたいことです。今回が東京初演。せっかくですから多くの方々に見て頂きたいと思います。
2)泉鏡花原作の名戯曲〈天守物語〉の脚本補綴を致します。同じく私が補綴・脚色を勤め2005年10月に初演した能楽劇〈夜叉ヶ池〉の流れを汲むものですが、直接の連続企画ではありません。
◆新作〈天守物語〉
原作:泉鏡花/脚本補綴:村上湛 /演出:高橋正徳/総合監修:梅若六郎玄祥
出演:大空祐飛/三上博史/梅若玄祥 ほか
2014年4月23日(水)14時 大阪・フェスティバルホール
2014年4月26日(土)14時+18時/27日(日)12時半 東京・Bunkamuraオーチャードホール
鏡花外史と名を並べて「脚本補綴」など本当に恐れ入るばかり。「新作」と出たのは私の管轄外で実際には〈夜叉ヶ池〉の時と同様「新版」というべきもの。玲瓏たる傑作〈天守物語〉は極力そのままお原作どおり楽しみ頂き、私の仕事は「今回の座組み等を勘案した総合監修・梅若玄祥氏の意を受けた補綴」ということになります。もうじき配役の詳細は発表されます。ちょっとしたサプライズもあり得ましょう。乞うご期待、というところであります。
3)観世小次郎信光の名作〈遊行柳〉が今年3月19日で初演500年を迎えます(永正11年=1514年3月19日、京都・新黒谷での6世観世太夫元廣道見勧進能)。一昨年春、朝日カルチャー新宿教室で対談した観世清和氏と控室で雑談の折、「現在のところ明確な初演年月日と場所が判明している唯一の能」としてこのことを話題にしたところ、清和氏の多大なる尽力の結果、初演者・6世元廣の衣鉢を継ぐ26世・現宗家が施主となって初演地での奉納演能が具体化し、黒谷本山の全面的協力を得て実現の運びとなりました。
◆観世小次郎信光作・能〈遊行柳〉初演500年記念奉納上演
2014年3月19日(水)午後1時半 京都・新黒谷 金戒光明寺御影堂内陣舞台
能〈遊行柳〉シテ:観世清和/ほかに供茶・法要・仕舞・狂言
主催:読売新聞社・観世文庫/協力:堀内長生庵・村上湛
文字どおり歴史的上演ですが会場の関係で全席招待制となります。私はオブザーバーの立場で蔭ながら見届けるのを心待ちにしています。
4)歳末に告知しましたとおり、実際は来年ですが4月期新年度内のことですので、いささか早いながら重ねてお知らせします。詳細は一昨日、12/30の本項をご覧下さい。
◆大槻能楽堂研究公演
2015年2月7日(土)14:00 大阪・大槻能楽堂
復曲能〈墨染櫻〉 補綴・演出:村上湛
シテ:大槻文藏/ワキ:宝生欣哉/アイ:善竹隆平
笛:藤田六郎兵衛/小鼓:大倉源次郎/大鼓:亀井広忠/地頭:片山九郎右衛門
冒頭に講演(40分)「花の変容~完曲復興〈墨染櫻〉」:村上湛
公演に関わる仕事は、現在のところ主に以上でしょうか。
ほか、すでに4回重演された能〈戀重荷〉の拙作演出版が東京でまた出るかもしれません。現時点では詳細未定です。
ということで、今年もさまざまな点で有縁・無縁のみなさまに重ね重ねお導き頂けますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2014年1月 1日 | 記事URL