2012/2/17 メジロ | 好雪録

2012/2/17 メジロ

庭先にミカンの輪切りを吊るしておくと、メジロが飛んで来てきれいに啄み尽くす。
可愛らしいと言ったらない。
例年、梅の花の蜜を吸いに来るのだけれど、今年は花が遅いせいか余計にミカンをあてにしているようだ。

「梅に鶯」というのは、実際は誤解ではないか、と言われる。
拙宅の近所でもウグイスも鳴くが、茂みに潜んで鳴くのであって、その姿を目にすることはほとんどない。メジロのように梅の木に飛来するということも、まずない。
メジロとウグイスはよく似ている。目の縁の白い覆輪の有無で見分ける以外、パッと目には分からない。
こんなことから、本来は「梅に目白」だったのを鶯に置き換えたのではないか、という推察が成り立つ。

同じような事柄に「松に鶴」があって、湿原に棲息するタンチョウが木に留まるということはあり得ない。
これも、ツルとよく似たコウノトリではないか、と考えられる。
コウノトリは樹上に巣を作り、木と縁が深いからである。

鶯も鶴も歌の題としては第一級の重要度を誇る。それに圧されてメジロやカササギは分が悪かったのだろう。

「梅に鶯」「松に鶴」という紋切り型は、一種の文学幻想なのである。

2012年2月17日 | 記事URL

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