好雪録

2011年2月アーカイブ

2011/2/22 静養中

一段落つきかけて気が緩みますと、身体は正直なもの、見計らったように体調を崩します。

昨日からどうにもけだるく動くに物憂く、夜に入ってちょっとばかり熱も高くなりましたので、予定していた大阪行きは取りやめとしました。
仁左衛門の奮闘ぶりは、別途来月、東京で見定めたいと思います。

幸い本日午後には復調傾向にあります。
お蔭で今日と明日の丸2日間、外での仕事もなく、見るべきものもない、完全な空き時間ができました。
思えば、自然と発した心身のリセットだったのでしょう。

批評の更新も早いところ済ませておきたいと思っています。
余寒の折節、皆さんもどうぞお大切に。

2011年2月22日 | 記事URL

2011/2/20 うかうかしてゐるうちに

1週間以上も好雪録を放置しておりました。

折から入試時期とて、学務にいろいろなことが重なります。
降雪のアクシデントが今のところないのはありがたいことです。

受験生である高校生・浪人生がこの頁を見ている可能性は限りなく低いとは思いますが、
万々が一もしおられましたら、ご検討を心からお祈り申します。
そうして、入試が終わり次第、浴びるようにたくさん能・狂言の舞台を見て下さい。

若手のなかなか育たない能評の世界。
冗談ではなく、専門的な能評家は今や絶滅危惧種であります。

今日はこれから新国立劇場バレエ研修所の研修発表会を見て参ります。

2011年2月20日 | 記事URL

2011/2/12 溜まってます。

さきほど横浜で見た〈江口〉の批評を上網しました。
今日に限って筆記用具を忘れてしまったため、忘れないうちにと思って先に文章にしたものです。
これまでの、文楽やミシマダブルを含め、だいぶん批評の書きかけが溜まっています。大学の年度末用務が立て続けなもので、執筆だけにはどうしても専念できません。ひと段落ついたら一気に仕上げたいと思っています。

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2011年2月12日 | 記事URL

2011/2/11 ミシマダブル

渋谷Bunkamura シアターコクーンにて上演中の〈サド侯爵夫人〉と〈わが友ヒットラー〉
平幹二朗が畢生の名演技。
ことに〈サド侯爵夫人〉のモントルイユ夫人は必見である。

三島戯曲を役者が演ずる際に最も大切なことは、役柄の解釈ではない。
「解釈」などというチャチな内面性以前に、役者の職人性の根源である「完璧なセリフ術」を体得していることに尽きる。
言葉を噛む、呂律が回らない、アクセントがおかしい、そうした瑕は決して許されない。
驚くべきことに、平幹二朗は両戯曲の膨大なセリフを自家薬籠中に納めた上で、余裕さえ漂わせる。
まさに、偉大なる怪物である。

古典演劇を評する時は、なにがしかの専門性を踏まえた上で(簡単に言えば「勉強した上で」)論評を加えない限り、見当違いの誤解で終わりがちであるのに対し、現代劇はそうではない。
現代劇は、現代人が、現代人の価値観のみを尺度に、堂々と論じて良いものだ。

多少古くなったとはいえ、三島戯曲は現代劇である。

だが、すべて女装の男性=現代版女形によって演ぜられる今回の〈サド侯爵夫人〉は、通常の現代劇にはあり得ない設定である。
しかして、歌舞伎はもちろん能・狂言ですら、根源的な「女形藝」に立脚していることは明確である。
逆説的だが、今回の「ミシマダブル」に対し、平幹二朗のモントルイユに対し、正鵠を得た評語を下せない限り、現代の能や歌舞伎を批評する資格もまたないのではなかろうか?

繰り返すが、平のモントルイユは必見。
南美江の亡きあと、これほどのモントルイユが見られるとは夢想だにしなかった。
「六世中村歌右衛門以来最高の女形藝」と、小声の程度ならば言って良かろうと思う。


上演は3月2日まで。
当日券も若干は出る由

私も無理してもう一度見たい、見ようかと思うほどです。

2011年2月11日 | 記事URL

2011/2/7 渡歐豫定

既にお気付きのとおり、3月分の見聞予定を上網しました。
ふと思い立って、というノリに近いのですが、急遽2年ぶりに海外に飛ぶことにしました。
もっとも、かなりの強行軍であります。

今回の目的はオペラ見物、特にミュンヒェンでのグルベローヴァです。

私はできれば連日聴いていたいクチですので、どうしても渡航先が限られます。
というのも、イタリア、フランスなどは、同じオペラハウスで連日は上演しないお国柄。
ですから、せっかく赴いても見られる舞台が少ない。
その点、ヴィーンのシュターツオパーは連日違った演目が出ますので、数を聴くには好都合。
ミュンヒェンは今回初訪問ですが、バイエルン國立歌劇場もやはりそういうシステムです。

海外からの来日公演は近年まことに増えました。
けれども、、「現地から決して持って来られないもの」がふたつあります。

一つは、劇場そのもの。もう一つは、観客・聴衆です。

三宅坂の国立劇場は外観あたかも倉庫の如く、歌舞伎座を高層ビルにしてしまうのが日本。
戦時中の爆撃に遭った再建もあるにせよ、古式を守り、贅を凝らした海外のオペラハウスには「ただそこにいる」楽しみがあります。

それにしても、西歐の観客・聴衆は居眠りをすることがごく少ない。
これは不思議です。
何か理由があるのでしょうか?

舞台の成果は観客・聴衆に支えられ、観客・聴衆は劇場という建築物に足を運ぶ。
「持って来られない」このふたつこそ、最も大切なふたつなのです。

皆さんがお好きな劇場は、どこでしょう?

2011年2月 7日 | 記事URL

2011/2/4 大雪でした。

立春のお祝いを申し上げます。

今年の裏日本は近年にない大雪で、ご多分に漏れず私も難渋。
1月31日に新潟まで出たところ、その先の列車が動かず、代替のバスが仕立てられ、3時間半ばかり揺られて鶴岡に着き、そこから黒川に入ることができました。
ですから、難渋と言っても予定経路が異なったばかり、ただ数献を重ねつつ椅子に腰かけていれば良かっただけで、暗澹たる雪景色も鉛色の日本海の怒濤も車窓から存分に眺めることを得ました。

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2011年2月 4日 | 記事URL

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