好雪録

2011年1月アーカイブ

2011/1/31 大雪だそうです。

大阪文楽の批評を上網しました。
文楽については思うところあって、近ごろさして熱心に足を運びません。

第25期の文楽研修生募集チラシが劇場に置いてありました。
今風の草食系男子が、青空をバックにさわやかに笑ってます。
「あー、こうなっちゃ、もうダメかも」と、色々な意味で考え込んでしまったことでした......

それではこれから黒川能に行って参ります。
今年は雪が深いそうで、久しぶりに王祇祭らしい黒川ではないかと、楽しみにしています。

2011年1月31日 | 記事URL

2011/1/29 近況など

本日、批評を3件上網しました。
どれもこれも長文でというわけには参りませんが、それでもこうした媒介は字数の制限がないのがメリットではあります。

また、『能楽タイムズ』2月号に、昨年12月分の能・狂言批評を執筆掲載しましたので、ご興味の向きはご覧下さい。

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2011年1月29日 | 記事URL

2011/1/27 文化庁芸術祭賞贈呈式

久しく書き溜めていた玉三郎〈阿古屋琴責〉評を、ようやく上網しました。
かなりの長文となりました。

一昨日の1月25日、一ツ橋の如水会館で平成22年度芸術祭賞贈呈式があり、審査委員として参列した。
今回は山本泰太郎氏が〈月見座頭〉で演劇部門優秀賞を受賞。審査員間でも異口同音に評価の高い成果だった。

各自の業績がそれぞれ紹介されたあと、文部科学大臣の手から一人ひとりに賞状が手渡される。放送に関わるジャンルの、ある作品の番になった時、壇上に立っていた代表者が是非にと仲間を呼び上げ、共に表彰を受けた。心温まる、美しい光景だった。

放送・映像の世界では、グループで企画を立て、何人もの手で作品を作り上げてゆくことが常である。集団としての職人意識が高い世界だ。
その中で、栄誉を受けるべきは一人ではない。この時の代表者は、特に功績のあった仲間を呼び上げずにはいられなかったのだろう。

放送・映像ばかりではない。
本質的な意味で、たったひとりの力で創り上げられる藝術作品など、実はないはずである。

2011年1月27日 | 記事URL

2011/1/25 今夜上網します。

まことに延引しておりますが、玉三郎の〈琴責〉批評を今夜上網の予定です。
そのほかも順次、遅からぬうちに纏めたいと思います。

こうした媒介は字数制限がないだけに、また、なるべく誤解を避けようと思うだけに、どうしても長文になってしまいます。
高覧頂く向きは、どうぞお含み置きを願えますと幸いです。

今夕は今年度の文化庁芸術祭賞の授賞式があり、ちょっと顔を出して参ります。

2011年1月25日 | 記事URL

2011/1/21 油谷光雄さんのこと

色々と書き掛けの批評があり、明日は大阪で文楽と能を見ますのでまたもや溜まる仕儀となりますが、週明けに一気に上網を済ませたいと思います。

今宵は国立能楽堂の狂言の会だった。大藏流が2番、和泉流が1番。

能を含まないこうした会を、昔から「狂言づくし」と称する。
もっとも、以前はあまりなかったものだ。
あったにしても家の会や一門会の体裁で、異流他派の立ち合いの会は、それこそ滅多に見なかったものである。

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2011年1月21日 | 記事URL

2011/1/18 記録の功罪

昨年12月分の能・狂言月評を、『能楽タイムズ』2月号のために纏めております。
発行され次第、「活動記録」の項でお知らせします。
手控えを確認しながら批評文の再チェックするのが中々大変なのですが、
これは能評の基本であります。

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2011年1月18日 | 記事URL

2011/1/16 更新日時上網+邦楽の聴衆

トップページに各項目ごとの更新記録を上網しました。
まだ試運転段階ですが、何卒ご参考に。

原稿の締切が立て込んで、なかなか上網できません。
溜まっている批評等、週明け以降に記録に残したいと思います。
明日は日帰りで(舞台の見聞ではなく)京都に参ります。
今日は関ヶ原の降雪で、列車がだいぶん遅れていたようです。

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2011年1月16日 | 記事URL

2011/1/14 烏帽子のいろいろ+切符の値段

昨日の野村狂言座〈麻生〉の批評中、侍烏帽子に関する記述に追記を施しました。
本文の趣意に何ら変更はありませんが、こうした考証事はできるだけ注意して書き記さねば、と思います。

この批評は、烏帽子の選択ひとつで主題が違って見える例として、私が昨夜見ていてふと考えた劇解釈の一試案です。単なる穿鑿趣味ではありません。

今夜はこれから銀座で玉三郎の〈琴責〉を見ます。
切符は前売即日完売、けっこうな闇値が躍っているようです。
ルテアトル銀座は最大定員770名という少数収容とて、ある意味で仕方のないことですが、
それにしても、1等席18,000円は高価ですね。
浅草歌舞伎(昨日から愛之助が休演のようです)1部と2部を通しで見ても1等席18,000円。ほとんど玉三郎1人に2倍の値が付いているというわけです。

2011年1月14日 | 記事URL

2011/1/13 2月の見聞予定上網

2月の見聞予定を上網しました。

ミシマダブルは大変な人気で、実は私もいつ見るかまだ半決まりの状態です。
ほかにも直前まで日程が読めず不確定なものもあり、あくまで「予定」とお考え下さい。

既にお気付きのとおり、毎月これだけが見聞のすべてではありません。
むしろ、そこに挙げた数々は、「皆さん、これだけは見聞きしておいたら如何でしょう?」と、
僭越ながら、一種の私のオススメ公演だとお思い頂ければ幸甚です。

同じ舞台に足を運んだ知己の方々と、あとでお話しするのは楽しいものです。

中で特別なのは、舞樂〈蘇合香〉。
これはもう、大げさに言えば私の眷恋の演目でした。国立劇場に感謝あるのみです。

そんなことについても、また折々書いてみたいと思います。

2011年1月13日 | 記事URL

2011/1/11 野村万之介逝去

先刻、野村万之介逝去の報が公になった。

旧臘25日に世を去っていたものを、歳末年始の言忌みを避け、松が取れて一息置いてからおもむろに公表とは、いかにも藝人の仁義に叶った作法。
まことにゆかしいことだと感服した。

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2011年1月11日 | 記事URL

2011/1/11 翁付脇能を見る

一昨日は京都観世会で、昨日は銕仙会で、それぞれの初能を見た。
どちらも折から翁付脇能が出て、毎年のことではあるが、色々考えることが多かった。
これは個々の批評の項に触れたいと思う。

儀礼であって舞踊・演劇ではない(とされる)〈翁〉と、神能という曲趣がら演劇性は稀薄ではあっても、やはりまぎれもなく舞踊性・音楽性を伴ったドラマたる脇能と、このふたつを続けて演ずるならわしは、考えてみれば実に特異である。思い巡らしてゆけば、能が今後どういう方向に進むべきか、その指針や問題点が明らかになるかもしれない。これは、「能楽史上、翁付脇能がどういう変遷を経てきたか」という研究成果を踏まえつつ、それ以上に、「現代人にとって、翁付脇能はいかなる有効な意味を持ち得るのか」という、観客ひとりびとりの問題意識によって把握されなければならないだろう。

私にとって、能・狂言を見ることは、これに接して愉しむことはもちろんだが、その成果や意義について思いを巡らすことも、同等以上の価値を持っている。

舞台を見て感動すること、なにがしかの感を得ることは、終点ではない。あくまで、出発点に過ぎないのだ。

2011年1月11日 | 記事URL

2011/1/9 高覧御礼とメンテナンス

開設後僅々2週間に延べ1,000を超える高覧を賜り、篤く御礼申し上げます。

ちょうど開設の翌日、街頭で偶々お目に掛かった歌舞伎関係の知人に、このウェプサイト上網記事のご感想を伺いました。
周囲の限られた方には開設をお知らせしましたが、その方は違いました。どうして既にご存じか、ちょっと驚いたことでした。
その後『能楽タイムズ』に告知記事が掲載されましたから、能楽関係の方々は或いはお見知りかも知れません。

「このウェブサイトについて」の項にも記しましたとおり、
今後とも自他に対して忠実に裏表なき意見を述べ、かつ、事実誤認のなきよう、
何よりも、微力僭越ながら、古典演劇・古典藝能の将来に些かなりとも益するところのあるよう、誠心、勤めて参りたいと存じます。
よろしくご贔屓の程をお願い申し上げます。

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2011年1月 9日 | 記事URL

2011/1/6 天王寺屋出棺

新橋演舞場の昼の部〈妹背山〉が終わってロビーに出ると、外に人だかりがしている。見れば、亡くなった富十郎の霊柩車が駐車、劇場に別れを告げているのだった。

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2011年1月 7日 | 記事URL

2011/1/4 中村富十郎逝去

大阪から帰りの新幹線は満席の混雑だったが、その車内の電光ニュースで前夜の天王寺屋逝去を知った。

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2011年1月 4日 | 記事URL

2011/1/3 ☆★評価

歌舞伎批評の項で、演目ごとに☆★付き評価を施してみました。

★が多いほど高評価で、標準は★3ツか2ツあたりを推移するのではないかと思います。したがって、★5ツや☆5ツはまず滅多に出しません。

これはひとつの試みで、1年間を通観して私自身がどういう芝居をどう見ていたのか、自己確認したいためであります。
一種の定点観測と言えましょうか。

2011年1月 3日 | 記事URL

2011/1/1 ノイヤールスコンツェルト

居室に置いていないせいか、私は普段ほとんどテレビを見ない。

必要な藝能番組は録画して保存、リアルタイムではまず見ない。だから、昨年1年間を通じて総視聴時間は、恐らく合計3時間にも満たないだろう。

そんな中で、元日の夜恒例のヴィーンフィルハーモニカー・ノイヤールスコンツェルト(ドイツ語表記を真似ました)は、全部は見ないにせよ、生中継ということもあり、都合によって半分ほどは毎年聴き入る。つい先刻も、フランツ・ヴェルザー=メストの清新な棒捌きを愉しんだ。

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2011年1月 1日 | 記事URL

2011/1/1 新年ごあいさつ

平成23年辛卯の御慶を申し上げます。
本年も旧年同様さまざまな舞台を見、考えを深めたいと思っております。
何卒よろしくお願い致します。

評論以外の今年の主な仕事を申しますと、すでに「活動記録」の項に告知済みですが、普段から出講しております朝日カルチャーセンター新宿校にて特別講座が2つ。

1月27日(木)は梅若玄祥氏との対談。「梅若家の近代」を通じて明治以降の能楽史を概観、現代の能の諸問題を取り上げます。

また、今年は六世中村歌右衛門没後十年祭とて故人追福の意を籠め、2月28日(月)、中村梅玉・魁春ご兄弟の対談に進行役を勤めます。鼎談のかたちで、故人の藝と人となりを偲びたいと思います。

能の再構成がひとつ。

9月24日(土)、大阪・大槻能楽堂の委嘱で能〈千手〉。千手ノ前・塩津哲生氏と平重衡・大槻文藏氏の初顔合わせ異流共演(地謡は観世流)、新規上演版を作製します。観世流の小書「郢曲之舞」を参考に、それとは別の、1時間程度で見ごたえのある構成・演出を考えています。

別に、詳細未定ながら新作にかかわる予定あり、そのほか、随時お知らせ致します。

2011年1月 1日 | 記事URL

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