2012/3/5 乍憚口上 | 好雪録

2012/3/5 乍憚口上

本日は平成中村座の勘九郎襲名披露3日目を見た。
勘三郎のお徳はなかなかのもので、先月の権八しかり、病後、藝が深化したと思う。

とは言うものの、松席で17,000円はいかにも高い。
2人連れで行って食事でもした日には簡単に4万円を越えてしまう。尋常の額ではない。

勘三郎が本日の口上でも言っていた、「数百年に亙る歌舞伎を今後ともご愛顧を」と願ったとて、1年に1度しか見ない観客を100人作っても、いつまで経とうが彼ら彼女らは観光客と同じ目線、藝の善し悪しを語れる観客にはなり得まい。
これは私の持論だが、質的に歌舞伎を向上させるにはそうした観客を100人作るよりも、年に10回は歌舞伎を見る観客を10人作ったほうがよほど得策なのである。

そのためには、安価で何度も見られる席を設定するのが必須。
役者だけではなく観客も、ヴィデオに拠らず生の舞台を数多く見て鑑賞眼を養わねば嘘である。
もっとも、ただ数だけ見ても仕方がないのだが。

2012年3月 5日 | 記事URL

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