新国立劇場の初日が開いた。
ゼンタを歌ったジェニファー・ウィルソンが相当の熱唱で聴かせる。
名高い幽霊船伝説を扱ったヴァグナー初期の作だが、隠喩に満ちた内容なので舞台化にさまざまな可能性がある。
終末、ゼンタの自己犠牲(ある意味で女性蔑視に繋がる、ヴァグナーが終生愛した主題)によって「救済」があるのかどうか、という点がこの作品ではミソ。
序曲末尾ではカットした、ハープの美しい救済の主題の旋律を、オペラ最後ではカットせず(省く版もある)演奏したが、舞台面でそれが具現化されていたとは言えなかったようだ。
つまり、中途半端な印象である。
初日なのに空席が目立って残念。
お好きな方にはお勧めしたい。
2012年3月 8日 | 記事URL