2012/4/10 忠臣藏雜感 | 好雪録

2012/4/10 忠臣藏雜感

今日は新橋演舞場の若手〈忠臣藏〉を通して見て、考え込んでしまうことが多かった。

みなそれぞれ熱心ではあるが、明らかに歌舞伎の素養に不足した役者もまた多く見られ、熱演以前の疑問を感ずることもしばしばだった。末端に注目するにつけ、こんなに弛緩した大序を見たのは初めてである。
竹三郎は措くとしても、主要な役柄の中での最年長がお軽を演じた今年52歳の福助。彼はこの役を1982年に歌右衛門から習った。「伝説の歌右衛門」から直伝を受けたことだけで「別格」の存在感を示すということは、良いのだか悪いのだかよく分からない。

最も不思議に思ったのは、突出して優秀な菊之助の判官が、真摯に演じているにも関わらず、師直の松緑、桃井の獅童、顔世の松也、その誰とも「共演・競演」しているように見えなかったこと。

菊之助のこの自閉性は、ちょっと興味深いし、また、心配でもある。

2012年4月10日 | 記事URL

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