2012/4/21 第1回燦ノ会 | 好雪録

2012/4/21 第1回燦ノ会

表題は喜多流の若手、佐々木多門(1972年生まれ)・大島輝久(1976年生まれ)・友枝真也(1969年生まれ)で組織された同人会。
大島の静、友枝の菜摘女による〈二人靜〉と、赤獅子の佐々木が師・塩津哲生の白獅子に胸を借りた半能〈石橋〉でこのたび発会した。

彼らの上の世代には、狩野了一・友枝雄人・内田成信・金子敬一郎による條風会があり、さらにその上には妙花の会、果水会など、遡れば先代・喜多實の在世中から喜多流には同世代同士が志を共にして演能会を結束、師や先輩も積極的にそれを援けて大曲の類をドシドシ勤めさせ、腕を磨く美風が続いている。
保守的と見られがちな喜多流だが、そうした点では実に柔軟と言おうか、ともかく「内輪に籠って稽古するだけでなく、人に見てもらってこそ」という態度に快い男気を感ずる。
同人会の開催は観客動員つまり切符の売り捌きも含め自己責任、いろいろな意味で社会性を伴った藝術活動である。内弟子・稽古人の意識を脱し、自立した能楽師として自覚を持つには最適のことだろう。

これを敷衍するならば、私の持論として、個人の会を含めたこうした自主催会を持たない能役者は大成しない、という確信がある。
今回めでたく発足した当会同人たちには苦労を凌ぎつつ永く継続してもらいたいし、また、條風会同様、今後の能楽界の動向を占う意味でも、末永く見届けてゆきたいと思う。

2012年4月21日 | 記事URL

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