2012/4/27 またまた名舞台~〈檜垣〉と〈阿古屋松〉 | 好雪録

2012/4/27 またまた名舞台~〈檜垣〉と〈阿古屋松〉

東京は終日陰気な天候だったが、京都は晴れ渡った爽快な陽気。

その京都で友枝昭世が〈檜垣〉を演じ、ちょっと予想できなかったほどの名舞台を見せた。
私がこれまでに見た友枝の能の中で、文句なしにナンバーワン。
やっていることは先年の初演とほぼ同じ、路線も別段これまでと変わっている訳ではないが、びっくりするほど内実が違うのだ。
こうした、良い意味での「藝の変わり目」に接することほど、批評家として嬉しく楽しいことはない。

夜は東京にトンボ返り、国立能楽堂で観世清和の〈阿古屋松〉初演を見た。
これまた丁寧至極、花も実もある立派な舞台。
演出処理も、まず100パーセント首肯し得るオーソドックスなもので理に適っているし、見た目にも良くできている。29日の再演が楽しみ。

ちなみに、〈阿古屋松〉この日の扮装は、前シテが濃灰色の小格子厚板着流しに焦茶色の水衣、杖を突き、紅葉を折り添えた負柴。面は河内の笑尉。後シテが白垂に初冠(松挿頭に萌黄色の日蔭糸)、白地紫浮線綾の狩衣に紫指貫。面は氷見の腰巻尉。
後場の舞事は、最初に太鼓入り序ナシのイロエ。後に真之序之舞(序5ツ=4節)で、初段オロシのあとすぐ舞上ゲ。京都版と異なり詞章の省略はなく、サラサラ運んで〆て2時間。

以上、ちょっとした、けれども特記すべきご報告でした。

2012年4月27日 | 記事URL

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