2012/5/13 鶏卵素麺 | 好雪録

2012/5/13 鶏卵素麺

本日は九州・大牟田へ日帰り。
新幹線が開通して却ってJR線の便が悪くなり、福岡の天神から西鉄で往復した。
海抜の低いところを電車が走って行くので、有名な筑後柳川のあたりを代表に水路が多く水位も高い。そうした堤といわず藪といわず、至るところに真白い野茨の花が咲き乱れているのが印象的だった。

さて、九州といえば、博多といえば、鶏卵素麺。
これは私の大好きな菓子。
ちょっとした高級品だから、ご多聞に漏れず、子どものころは沢山食べてはいけないと制せられたせいか、何となく今でも「憧れ」なのである。

煮立てた糖蜜で鶏卵を固めるため糖度が高く、日持ちがし、腐敗しない。その点、「海路、赤道を越しても変質しない」ことで名を成したヴィーンのザッハートルテと似ている。

香料無添加なので格別の匂いもないのだけれど、だからこそ、口に入れてフッとほのかに鼻を通る卵の風味が絶妙だと思う。
抹茶や番茶に合うが、もともと南蛮菓子だから紅茶にも珈琲にも好適だ。

東京は便利なところで、こうした筑紫の銘菓も新宿・伊勢丹をはじめ随所で手に入るし、大阪に本店がある鶴屋八幡のそれはちょっと乾き気味で扱いやすく、抹茶菓子としてはよりいっそう洗練された味わいで捨て難い。
が、やはり、鶏卵素麺といえば博多・松屋菓子舗のもの、だろう。今日も帰りに空港で一箱求め、帰宅してから仏壇に供えたあと一服した。どこで買っても同じなのだが、やはり「九州からじかに持ち帰った」というところに、何となく鶏卵素麺らしい気分がある。

昨日も書いたとおり、亡き祖母が九州に帰るたびことさら大切に持ち帰った、私の知らない「お国の味」なのである。

2012年5月13日 | 記事URL

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