2012/8/21 奇禍 | 好雪録

2012/8/21 奇禍

いやもう、間の抜けた私事の備忘に過ぎませんから、お読み飛ばし頂いて一向に差し支えございません。

午前中は勤務校で会議に出席。夜は国立能楽堂で高橋睦郎執筆の新作能〈散尊〉初演を見て、少酌ののち帰宅しようとしたところ、新宿の路上で転倒。

「しまった!」と思った時には既に遅く、右眉上をアスファルト路面にしたたかに打ちつけて流血淋漓のありさま。

咄嗟に疵口を押さえた白のハンカチが、たちまち緋帛紗に。
もはやこれまでとしゃがんでいると、通りがかりの親切なお人が救急車を手配して下さり、奇禍20分後には最寄りの病院に運ばれて5針も縫われていた。
幸い出血はすぐ止まり、その場でCTも撮ってもらって異常ナシ。忠信になっては困るから破傷風のワクチンまで打ってもらい、これで処置はすっかり済んだので1週間後に適当に抜糸に来ればよいとのことで、転倒から1時間後には電車で帰宅した次第。
言うのもヘンだが綺麗に切れているそうで、さすがに後刻いささか腫れてたはきたが瞼が塞がるほどではなく、数日すれば引くとのことで痛み止めも飲まず、他に処方された薬品もない。

考えると、当座にドドドっと盛んに出血したからこそ運ばれて処置され、却ってよかった。
血が出ず、内出血に気付かず自儘に帰宅していたら、後になって大いに祟ったはずだ。
ほかには手もひねらず打撲もせず、アッサリ5針だけで済んだのは神仏祖先の冥助と以て瞑すべきであろうか。

ワインを小盃2盞は飲んではいたが、この程度で足がフラつくほどにはならない。てっきり革靴の底が路肩に滑ったものと思っていたが、いま考え直すと、よく通る道のこと、舗装に生じた隙間があって、そう言えば過去にも同所で何度か足を取られ掛けているのである。
老人が室内の畳の縁で転んで骨折するというのは、確かにバカにできないことだ。

まあ、不幸中の幸いだったのだけれど、倒れたところに欠けガラスでも落ちていたり、自動車が走り合わせたり、そんな不運が重なったらと思うとゾッとする。
そう思うと、ただ普通に歩くことさえ薄冰を履むがごとき思いになる。

やれやれ。
どうぞ皆さんもお気をつけられて。

2012年8月21日 | 記事URL

このページの先頭へ

©Murakami Tatau All Rights Reserved.