好雪録

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2013/2/4 十二代目市川團十郎逝去

九代目市川團十郎が〈酒井の太鼓〉を演じた時の発句「節分の太鼓にあたる豆の聲」を團洲みずから扇面に書いた横物の軸を所持している。骨董に造詣の深かった女婿・三升の箱書きだから、贋物の多い九代目の筆の中でも、まあ信用できる品かと思う。毎年の節分には床に掛け、弟子の七代目松本幸四郎が若松を描いた尾戸焼の筒茶碗で薄茶を点てて祝う習いにしている。

昨夜もこれを眺めて一服を喫し、病臥の成田屋を思って暗澹としつつ早く褥に就いた。
明けて立春の朝を待たず、十二代目市川團十郎はこの世を去ってしまった。

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2013年2月 4日 | 記事URL

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