好雪録

2013年8月アーカイブ

2013/8/30 五十回忌追善「初代尾上菊之丞を憶ふ会」

例年、8月30日は釜日で京都に行くのだが、今年は予定が立て込み気味ゆえ不参。
今日はまた厳しい残暑のぶり返しで、身に堪えた。

昨日から開催の「初代尾上菊之丞を憶ふ会」の後半を見に、夕過ぎごろ国立劇場へ。

続きを読む

2013年8月30日 | 記事URL

2013/8/28 今年度「能楽座」公演

暑さは少し戻ったが、やはり秋気は疑いもない。

本当は夏土用の酷暑中に済ませるところ、大分遅れ、茶の湯で用いる灰作り
一般には殆ど知られていないことに、冬・春の炉と夏・秋の風炉と、茶の湯で炭火を入れる灰は亭主みずから仕立てるのが約束。市販の茶の湯灰に正しく完成されたものはない。
したがって、糠床のように気軽に人に分かつものではなく、灰は茶家の秘蔵で門外不出。外部の茶会で釜を掛ける際もその場所の炉灰だけで辛抱して、自家の灰は持ち出さない掟である。
仕立て方には人によって家によって色々な手法がある。
炉灰は毎夏、濃厚な茶汁で練り返すのが当流の基本。
お年を召したご婦人などどうしているのかと思うほどの結構な力仕事だが、したことが必ず結果に出るので、これは実に愉しい作業である。

午後は国立能楽堂で毎夏恒例「能楽座」公演を見る。

続きを読む

2013年8月28日 | 記事URL

2013/8/27 〈アイーダ〉東京ドーム公演中止

昨深夜は大雨の中、難儀して帰宅。
今日は秋晴れというべき爽やかな一日で救われた。

遅れ馳せながら、先日8月24日(土)に朝日カルチャーセンター立川教室で開催された、
「源氏物語の扉」は盛会でした。
馬場あき子さんとの放談と申すべき対談も瞬く間に終わり、ご来聴の方々には心より御礼申し上げます。

さて、今日報道された表題の一件には驚いた。
アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭の引っ越し公演と銘打った〈アイーダ〉の公演中止

続きを読む

2013年8月27日 | 記事URL

2013/8/24 ミュージカル〈レ・ミゼラブル〉~田村良太のマリウス

この項を振り返って読み直すと、ちょうど1年前の今日、現在上演中の東宝ミュージカル〈レ・ミラゼラブル〉をめぐり失望と期待の入り混じった感想を述べている。
その折表題に据えた、当時はまったく未知の存在だった新人・田村良太の演ずるマリウスについて、今は多少思うところが溜まったので、ここでちょっと考えてみたいと思う。

私はこれまで彼のマリウスは、彼にとって帝劇のプレ初日4月23日、同じく本初日5月4日、千穐楽7月8日、博多座初日8月19日、それぞれの節目を含めて総計11回見た。
データとしては充分だろう。

続きを読む

2013年8月24日 | 記事URL

2013/8/23 フランスオペラの秋~グノー〈ロメオとジュリエット〉

この夏から秋は私の好きなフランスオペラの上演が引き続き、嬉しい限りである。

すでに先月から今月に懸けてミシェル・プラッソンの堅実な指揮で伝統的なシューダンス版による二期会〈ホフマン物語〉の上演を堪能したが、先日、大阪に行った折、なんばの駅でグノーの〈ロメオとジュリエット〉の上演ポスターを見てびっくり。

堺シティオペラによる上演とのこと。
ちょうどフェスティバルホール〈レ・ミゼラブル〉初日を見る翌日のことでもあり、本日、切符を確保した。
私はこの曲が大好きなのだ。

続きを読む

2013年8月23日 | 記事URL

2013/8/21 奇禍一周年~「自分自身の身体をよく知ること」

最近はどうも出先から泊まりがけで帰ると、翌日はツカイモノにならず、困ります。

今日は終日スッキリ晴れやらぬまま溽暑、そのうえきわめて不順な天候。
午後から宵にかけて、拙宅上空では普段ちょっとないほど激烈な雷鳴が轟き遠近に落雷。
PCを起動させたままでは恐くなるほどだったので、仕事を諦めて電源を切って、ビールを飲んで昼寝してしまいました。

陽が落ちてから落ち着き、さきほどまで旧暦7月の望月の薄明かりが見えていたものの、いま9時半過ぎたあたり、またぞろゴロゴロと鳴り出した。

さて、昨年の筆記を見ると、路上で転倒し救急車で運ばれたのが1年前の今日
その時お助け頂いた方には後日、御礼を申し上げたのだが、滑って転ぶのは良くあることとはいえ、直後の処置を過てば老若を問わず命取りにもなりかねない。

続きを読む

2013年8月21日 | 記事URL

2013/8/20 筥崎宮参詣

昨日マチネ、本日マチネ、2度にわたり博多座ミュージカル〈レ・ミゼラブル〉を観劇。
私はこの劇場ではこれまで歌舞伎ばかり、他の出し物を見たことがなかったのだが、レミには恰好の大きさと親密な空間とで、帝劇以上の良い雰囲気である。

博多座の良いのは、3階席の最後尾D列の後ろ手すりに沿った「立見席」があること。
今回も毎回、1名3,700円で発売中の由。
歌舞伎座の一幕見より舞台が近い。リピーターには特にオススメである。

ただ、せっかく九州初上演のレミなのに空席もチラホラだったのは惜しい。
来月の大阪は既に完売、10月の名古屋、11月の帝劇凱旋も同様と予想されるので、今月の博多座は未見の方ことに九州在住の方に、色々な意味で絶好の機会と思う。

残暑の炎天下、思い立って今朝は筥崎宮に参詣。
前回は魁春襲名の博多座観劇の折だったから、早、9年ぶりの再訪である。

続きを読む

2013年8月20日 | 記事URL

2013/8/19 いざ、博多座。

これから空路、福岡へ。

今日と明日と、博多座の〈レ・ミゼラブル〉を見て参ります。
東京千穐楽以来、1ヶ月以上ぶり。まことに楽しみです。

2013年8月19日 | 記事URL

2013/8/17 能〈住吉詣〉について少々

暑いが秋風の感触で、よく吹きわたっている。

夕刻、久しぶりに九品仏あたりを散策し、参道口の「庵」で蕎麦。
新蕎麦に早い今時分はあまり食べないのだが、この店は自家製粉のせいかなかなか捨てがたい。面倒なことなく手打ちで気軽に蕎麦を楽しみたい人にはオススメである。

先日、天野文雄氏と話した折、能〈住吉詣〉について訊ねた。天正年間の制作とする氏の説は作者付の記載から想定した由だった。
この珍しい能については来月創立30周年を迎える国立能楽堂パンフレットに上演解説を書いた際、ちょっと考えることがあったのだ。

続きを読む

2013年8月17日 | 記事URL

2013/8/16 帝国劇場ミュージカル〈二都物語〉再見

午前中に会議一件。夜は知己と会食。
中に挟まり午後は帝国劇場でミュージカル〈二都物語〉を再見。

感想は先日の本項で述べたとおりだが、再見して改めてミュージカル作品としての魅力はなかなか深いと思われた。できることなら私も、もう一度見てみたいほど。

26日まで。
みなさん是非、一度はご覧になるようオススメしたい。

続きを読む

2013年8月16日 | 記事URL

2013/8/15 歌舞伎の大入りとミュージカルの不入り

今日は久しぶりに在宅静養でした。

昨日、歌舞伎座に行った時、時間があったので地下の入場券売場を覗いたところ吃驚。
9月興行は昼夜とも完売の好景気である。

続きを読む

2013年8月15日 | 記事URL

2013/8/14 中村七之助の〈鏡獅子〉初日

歌舞伎座第1部と第2部を見る。第1部〈鏡獅子〉は今日から七之助の番である。
昨日までの兄・勘九郎と同じ「仕込み」のはずだか、まあ、何と個性も行き方も違うことか。
これだから歌舞伎は、舞踊は、面白い。

続きを読む

2013年8月14日 | 記事URL

2013/8/13 中村勘九郎の〈鏡獅子〉再見

今日もお決まりの暑さだが、夜に入って風が渡り、だいぶん助かるのはありがたい。
歌舞伎座第1部を見る。〈野崎村〉に〈鏡獅子〉。
とても盛夏から残暑の狂言立てとは思われない。

さて、亡き勘三郎が仕事盛りの良い汗を流した8月の3部制興行。
旧盆の新盆に亡父追善の心だろう。今月の〈鏡獅子〉は月前半を勘九郎、後半を七之助、中村屋兄弟が踊り分ける趣向である。
初日に続けて最終日の今日、勘九郎の舞台を見た。

結果として言えば、まだまだ。まだまだ。
今月の勘九郎について「すでに当たり藝だ」とか、「これ以上の〈鏡獅子〉はない」と褒める向きもあるようだが、本当に本気でそう見ているのだろうか。

藝を評価する際、その時々で価値基準が変動し評者自身が変節する相対主義は無意味、ではなかろうか。
「昔に比べて藝のレベルが落ちたから今は『あるもの』で辛抱し、自ら過去に接した名演はなかったことにして、現今の上演間でのみ比較し無闇に絶賛すればそれで済む」というものではあるまい。

亡き勘三郎でさえ〈鏡獅子〉はとうとう完全にモノにはできなかった。
「勘三郎こそ〈鏡獅子〉の担い手だったし、そうなり得たはずだ」との信念と無念から、そう思う。

〈鏡獅子〉という舞踊の根源的な至難性。
「勘三郎亡きあと、勘九郎こそ〈鏡獅子〉を担うべき現在唯一の踊り手である」との期待。
この双方から鑑みて、私は今月の〈鏡獅子〉を「まだまだ、まだまだ」と思うのだ。

続きを読む

2013年8月13日 | 記事URL

2013/8/12 市川海老蔵第1回自主公演『ABKAI~えびかい~』

溽暑激甚。青天ならず熱気で霞んでいるような空あいが不快。
午後は渋谷のBunkamura シアターコクーンで『えびかい』
そのあと歌舞伎座第3部を掛け持ち。

後者は後日まとめて批評を上げるが、〈狐狸狐狸ばなし〉はさすが北條戯曲とて良く書けている娯楽劇だと改めて思う。現今の歌舞伎役者にとっては、このあたりがもう古典歌舞伎よりも自然に演じられる作品かもしれない。
〈棒しばり〉は舞踊としては決して第一級の作ではないけれど、三津五郎と勘九郎で面白味は少ないながらキチンと踊られているし、この第3部は歌舞伎初心者にとって納涼恰好のオススメである。

さて、『えびかい』、である。
はじめに断っておくが、私は好悪や是非の観念は強いほうだと思う半面、予断や先入観を最後まで引き摺って固定観念のみを口にしたがる決して性分ではない。
厭だ、キライだ、と思っている事物でも人でも、そのメッセージは曇りなく受け止めたいし、接しているうちに納得して評価や感想などガラリ改めることに何のわだかまりもない。
今日は正直、宮沢章夫脚本、宮本亜門演出の新作歌舞伎〈疾風如白狗怒涛之花咲翁物語~はなさかじいさん〉が始まって3分も経たないうちに、「あー、物見高く足を運んで、失敗した......」と後悔した。
で、ふと思ったのは、「これが大人向けでなく、こども向けに良くできた『おしばい』として作られていたら、どうだろう」......そう考えると、このままでそうなるわけではないが、工夫によっては別の新たな可能性が確かに開ける気がする。

なるほど、モノは考えようだと、独りつくづく考えたことだった。

続きを読む

2013年8月12日 | 記事URL

2013/8/11 傘寿記念・坂東竹三郎の会の快挙

本日午後、熔けるように帰京。
空雷で降らぬまま、日が暮れても暑さはまったく去らないが、さすが立秋過ぎとて、夜毎に蟋蟀の鳴声が耳につくようになった。

さて、足掛け3日間の大阪滞在。

8/9(金)には、先ごろ新装なった中之島フェスティバルホールを初訪問。藤間勘十郎と梅若玄祥の父子競演「至高の華~〈道成寺〉二題」を見る。寸評は能楽月評として別記する用意だが、色々な意味で芳しい成果は得られなかった。

昨日、8/10(土)は国立文楽劇場で「傘寿記念・尾上菊次郎33回忌追善」と銘打った「坂東竹三郎の会」夜の部。
これこそ大変な収穫であって、炎暑の熱鬧に足を運んだ甲斐もあるというもの。
労苦の連続だった竹三郎が、役者人生の集大成として美事に咲かせた大輪の花。
われ人ともに心の底から堪能し、愉しんだことだった。

続きを読む

2013年8月11日 | 記事URL

2013/8/9 残暑の大阪

今日から3日間、大阪。

今宵は新装の中之島フェスティバルホールにて、藤間勘十郎の舞踊、梅若玄祥の能、それぞれによる「至高の華~道成寺二題」。
明日は国立文楽劇場での「傘寿記念・坂東竹三郎の会」。猿之助との〈女團七〉に、仁左衛門との〈四谷怪談〉とは嬉しい番組。
後者は加賀屋歌江のお梶、實川延壽のおとらで1987年8月・葉月会で見て以来、26年ぶりの上演。

酷暑の中、行って参ります。
更新は8月11日の夜以降になるでしょう。

2013年8月 9日 | 記事URL

2013/8/8 劇団四季ミュージカル〈ウィキッド〉

晴天溽暑。畏友・富柏村散人の帰朝中とて夕食を共にし款語数刻。

昨日は汐留の電通四季劇場「海」でミュージカル〈ウィキッド〉を見た。
前回の東京公演、2007年6月から2009年9月まで通算789回を数えた初演のロングランを見ていないので、8月3日初日の今回再演が初見。
私が改めて言うまでもなく、既に定評を得ているとおり無類に優れた作品。
とにかく老若を問わず誰にでも見てほしい、オススメの舞台である。

続きを読む

2013年8月 8日 | 記事URL

2013/8/7 世阿弥忌逮夜の観世宗家対談

相不変、暑いが、昨日ほどではなく夕立もなかった。
午後、劇団四季のミュージカル〈ウィキッド〉を見る。前回ロングラン以来の東京再演だが、とにかくすばらしい作品であって、舞台好きは必見である。感想は明日。

午後6時半から8時まで朝日カルチャーセンター新宿教室公開講座「世阿弥の能とこころ」。観世宗家・観世清和さんと対談した。

続きを読む

2013年8月 7日 | 記事URL

2013/8/6 帝国劇場ミュージカル〈二都物語〉

蒸し暑い一日。お定まりの夕立ちあり。終日執筆。夜は帝国劇場で本邦初演ミュージカル〈二都物語〉を見る。

続きを読む

2013年8月 6日 | 記事URL

2013/8/1 八朔御挨拶~〈レ・ミゼラブル〉と観世宗家対談~

長らく放置したまま更新はかばかしくなく、失礼致しました。
ようやく暑中休暇に入りましたので、これからは精々、日々アップを心がけて参ります。

活動記録と見聞予定の欄は順次更新しておりますのでご承知とは思いますが、この4月以来、新演出版に改まったミュージカル〈レ・ミゼラブル〉の公演が続いています。ひょんなことで色々な出会いが重なり、プレ初日、地方公演を経て、11月帝国劇場凱旋公演の千穐楽まで、持続的に見続けることになりました。本公演は、本邦初演以来30年に近いこの名作の、ある意味での一大転機と言えます。どこかでその報告なり批評なり、残して置きたいと思います。

また、批評の欄には、去る5月29日(水)、国立能楽堂開場30周年記念特別企画公演での片山幽雪の能〈關寺小町〉について是非、書き残しておきたいと思います。「能を見るとはどういうことか」という根本を考えさせられる公演でした。単に褒めるだけでは無意味。ただ貶すのも無意味。今日まで管見の及ぶかぎり、それについてはかばかしい考察をなし得ている例はないようです。

8月に入りまして早速、7日(水)午後6時半から朝日カルチャー新宿教室の特別公開講座「世阿弥の能とこころ」と題する対談を致します。お相手は観世宗家・観世清和さん。昨春開催して好評を博した対談の続編です。
今回は世阿弥の記念年とて、世阿弥の命日が8月8日ですからその前夜=逮夜を選び、当代観世宗家にお越し頂く趣向です。昨年は談論風発、極めて面白い内容となりました。今年もまたいろいろと期待できるのではないかと思います。
私はこうした場合、ほとんど打ち合わせもせずその場の流れで話を転がしてゆく性分ですが、お相手に助けられて思いがけない話題が湧き出すのが妙味であります。今回は昨年国立能楽堂における復曲〈阿古屋松〉の映像も一部お目に掛けながら、清和さんのお話を掘り下げてゆければと思います。また、来年以降ちょっと有意義な活動をいくつか予定していますので、その一端が予告できるかもしれません。

観世宗家対談は、ありがたいことに、既に申し込み多数で満席が近づいております。
ご興味の向きは上記ウェブサイトへお申込み、あるいは新宿教室に直接電話で(03-3344-1941)お問い合わせ下さい。

2013年8月 1日 | 記事URL

このページの先頭へ

©Murakami Tatau All Rights Reserved.